採用媒体はどう選ぶ?目的別の媒体比較と失敗しない選定ポイント

「求人広告を出したのに、思ったより応募が集まらない」「媒体ごとに特徴がありすぎて、どれを選べば良いかわからない」これは多くの中小企業の採用担当者が抱える共通の悩みです。
採用媒体は一度出稿すると数十万〜数百万円のコストがかかるケースもあり、選定を誤ると時間とお金を無駄にしかねません。しかし、媒体選びは感覚や有名だからという理由で決めるものではなく、「採用課題」と「目的」に応じた戦略的な選定が必要です。
本記事では、中小企業採用における媒体選びの判断軸を、目的別に整理して解説します。また、「どのように比較すれば失敗を防げるのか」「運用体制が限られている場合にどうすれば良いのか」もお伝えします。
採用媒体の選定が重要な理由

採用活動は、媒体選びで結果が大きく変わります。同じ予算を投下しても、ターゲットが利用していない媒体に出稿すれば、応募ゼロという事態も珍しくありません。
特に中小企業採用では、知名度やブランド力が弱いため、媒体選定が採用成功を大きく左右します。
さらに重要なのは、媒体ごとに必要な運用リソースやノウハウが異なる点です。
WantedlyやGreenなどのダイレクトリクルーティング型は、記事更新やスカウト配信など「運用型」のため、継続的に時間を割ける体制が必要です。一方、マイナビ転職やエン転職などは比較的「出稿型」で運用負荷は低いですが、募集タイトルや条件設計の工夫が求められます。
まずは自社の採用課題(母集団形成か、質の担保か、リソース不足か、運用ノウハウの欠如か)を整理し、さらに「どんな人を採りたいのか」「実際に自社で運用体制ができているのか」を明確にすることが、最適な媒体選定の第一歩です。
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目的別|中小企業に合った採用媒体の選び方

中小企業の採用では、目的に合った媒体選定が成果を大きく左右します。知名度が高い媒体に出稿しても、ターゲット層が合わなければ応募は集まりません。Wantedlyのようにカルチャーフィット重視の媒体もあれば、Indeedのように条件検索で幅広い母集団を集める媒体もあります。
また、媒体によっては記事更新やスカウト運用など、運用に時間やノウハウが必要なものもあります。
採用課題や運用リソース、欲しい人材像を整理したうえで、目的に合う媒体を選ぶことが、中小企業採用成功の第一歩です。
母集団形成を「量」で勝負したい場合
マイナビやリクナビは月間数百万人が利用する大手求人媒体で、圧倒的なリーチ力が最大の強みです。特に若手・新卒層への訴求に強く、「早期に人手不足を解消したい」「短期間で母集団を作りたい」中小企業に有効です。掲載するだけで自社を知らない層にも認知を広げられます。
また、媒体側のサポートにより運用負担が少ないのもメリットです。求職者はキーワード検索で求人を探すため、掲載すれば効率的にターゲット層に届きます。
一方で、掲載費用が高額になりやすく、20万円以上かかる場合もあります。応募数は求職者の動向や競合に左右され、応募が集まらないリスクもあります。
総じて、マイナビやリクナビは少ない運用負担で認知拡大と母集団形成が可能ですが、費用対効果や「待ちの採用」である点を理解して活用する必要があります。
母集団形成を「質」で勝負したい場合
ダイレクトリクルーティングは、企業が自ら候補者にアプローチできる手法で、代表的な媒体はWantedlyとGreenです。Wantedlyは「共感」や「ビジョン」を軸にカルチャーマッチ重視の採用に強く、ベンチャーや中小企業向き。一方、GreenはIT・Web業界経験者へのアプローチに強く、即戦力人材を求める企業に適しています。
最大のメリットは、候補者と早い段階で直接つながれる点です。応募を待つのではなく、スカウトによって積極的に接点を作れるため、潜在層にもアプローチが可能です。
ただし、成果には運用力が必要です。会社ページやコンテンツが魅力に欠けたり、テンプレ的な文面では反応は低下します。スカウトは企業を知ってもらう入口でもあるため、記事やコンテンツと連動した情報設計が成功の鍵となります。
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コストを抑えて効率的に採用したい場合
限られた予算で効率的に採用したい中小企業にとって、Indeedとハローワークは有力な選択肢です。Indeedは無料掲載が可能で、露出を増やすならクリック課金型広告が有効。ただし、キーワード設定や求人タイトルの工夫が成果を大きく左右し、設定次第では無駄なコストが発生するリスクもあります。
ハローワークは完全無料で地域密着型採用に強みがあり、シニア層やパートなど幅広い層にアプローチ可能です。ただし若手層へのリーチは限定的です。
いずれも「低コスト=即応募」ではなく、媒体特性に合わせた運用とPDCAの実行が不可欠です。
関係構築型で採用したい場合
SNS型採用媒体は、関係構築を重ねながら採用につなげるスタイルに適しています。
YOUTRUSTはベンチャー志向のユーザーが多く、カルチャーやミッションへの共感を重視する人材との相性が良好です。副業・業務委託から正社員化する柔軟な採用にも向き、ユーザー間の「つながり」を通じた紹介が生まれやすい点も特徴です。
一方、LinkedInはIT・コンサル・グローバル人材の採用に強く、ハイクラス層や海外経験者、英語スキルを持つ人材へのアプローチが可能です。いずれも「いきなり選考」ではなくカジュアル面談や情報交換から始める関係構築型が前提で、中長期的にカルチャーフィットした人材を探す企業に向いています。
採用媒体選定の失敗例とよくある課題

採用媒体の選定は、予算や知名度だけで判断すると失敗しやすいポイントです。
中小企業では「安いから」「有名だから」という理由で選ぶと、ターゲットと合わず応募が集まらないことがあります。また、媒体の特性や必要な運用リソースを理解せず出稿すると、運用が回らず成果が出ないケースもあります。
さらに、採用課題が不明確なまま媒体を選ぶことも大きなリスクです。質より数を重視すべきか、カルチャーフィット人材を狙うべきかによって選ぶべき媒体は大きく変わります。ここでは、中小企業が陥りやすい媒体選定の失敗例と、その背景にある課題を整理します。
予算に引っ張られすぎる
中小企業の採用では、限られた予算を意識するあまり「安いから」「キャンペーンがあるから」と媒体を選ぶケースが少なくありません。しかし、予算優先で選ぶと、ターゲット層が少ない媒体に出稿して応募が集まらず、結果的に費用が無駄になるリスクがあります。
例えば若手を採用したいのに、中高年層が中心の媒体に掲載してしまうケースです。さらに安価な媒体ほど運用ノウハウが必要で、工夫がなければクリックや表示だけ増えて応募につながらないこともあります。
採用は「安さ」ではなく、解決したい課題や求める人材像に合った媒体を選ぶことが最優先です。予算はあくまで手段であり、目的に合った媒体に適切に投資する方が長期的にはコストパフォーマンスが高まります。
メディア特性を理解していない
媒体にはそれぞれ特性があり、「有名だから」という理由だけで選んでも成果は出ません。
例えばWantedlyはカルチャーやビジョン共感型の人材に強く、条件重視の媒体とは性質が異なります。Indeedは幅広くリーチできますが、タイトルやキーワード設計次第で効果が大きく変わります。
中小企業では「どんな人材を採りたいのか」「その人材はどの媒体を使うのか」という視点が不可欠です。加えて、求職者層や記事更新の頻度、スカウトの必要性など運用面も考慮し、ターゲットに合った媒体を選び特性を活かすことが成功の鍵となります。
運用体制を考慮していない
媒体選びでは「広告を出せば応募が来る」と考え、運用体制を軽視する企業は少なくありません。実際にはダイレクトリクルーティング型はスカウト文作成や個別対応に工数がかかり、ノウハウも必要です。
Wantedlyは記事更新やスカウト配信を継続して効果が出ますが、担当者が1人だと止まりがちです。Indeedやハローワークのような待ち型は手間は少ないものの、更新を怠ると露出が下がります。
つまり、媒体ごとに必要なリソースやスキルは異なるため、「社内で誰がどこまで運用できるか」を事前に確認しなければ成果につながりません。
媒体を効果的に活用するためのポイント

採用媒体は「掲載すれば応募が来る」ものではなく、媒体特性に合わせた運用と改善が成果を左右します。中小企業は限られた予算・リソースの中で効果を最大化するため、ノウハウを持ちPDCAを回す仕組みと、自社に合った運用体制が不可欠です。
必要に応じて記事作成やスカウト配信を外部に委託し、負担を抑えながら質を担保する方法も有効です。本記事では、限られたリソースでも成果を出すための3つのポイントを解説します。
媒体ごとの運用ノウハウを知る
採用媒体は特性が異なるため、同じ運用では成果が出にくいのが現実です。
マイナビやリクナビは「タイトルや写真」で注目を集め、Indeedは「キーワード設計やクリック単価の最適化」が成果を左右します。Wantedlyなどダイレクト型では、記事更新やスカウト文の工夫が欠かせません。
特に中小企業は知名度を補うため、媒体特性を活かした差別化が重要です。Indeedなら検索上位を狙った求人設計、Wantedlyなら共感を生むストーリー発信など、自社に合った工夫を重ねることが成果につながります。
ノウハウが不足する場合は、ガイドや事例を参考に小さく試しながら改善していくのがおすすめです。
PDCAを前提とした運用設計
採用媒体の効果を高めるには、出して終わりではなくPDCAを回すことが重要です。
PVは多いのに応募が少ないなら記事やCTA、返信率が低いなら文面や送信タイミングを見直すなど、数値を基に改善を繰り返します。
中小企業はリソースが限られるため、月次で効果を検証しKPIを明確化することが有効です。重点改善ポイントを絞ることで効率的に成果に近づけます。
結果を社内で共有すれば、引き継ぎもスムーズになり属人化防止にも役立ちます。
必要に応じた外部支援の活用
採用業務は少人数で複数業務を兼務するケースが多く、記事作成・スカウト配信・分析などをすべて内製化するのは困難です。
リソースやノウハウが不足している場合は、記事制作やスカウト文面の外注、あるいは運用代行サービスを活用することで、負担を軽減しながら質を高めることができます。
特に中小企業では担当者依存による停滞が起こりやすいため、内製と外注の役割分担を明確化することが重要です。
外部パートナーを活用すれば最新ノウハウを取り入れられ、教育コストも抑えられるため、限られたリソースでも成果を出す仕組みづくりにつながります。
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まとめ|採用媒体選定は「目的」と「体制」がカギ

採用媒体の選定は「有名だから」「費用が安いから」だけでは決められません。特に中小企業は知名度が弱いため、どんな人材をどう採用したいのかという目的を明確にすることが重要です。
また、忘れてはいけないのが運用体制です。Wantedlyなら記事更新やスカウト、Indeedならキーワード設計やクリック単価調整など、媒体ごとに必要なノウハウが異なります。待ちの姿勢では成果は出にくく、PDCAを回す仕組みが不可欠です。リソース不足なら外注や代行の活用も選択肢になります。
結局、媒体選定を成功させるには「目的」と「体制」の両立が必要です。
自社の課題とリソースを整理し、適切な媒体を選び、継続的に改善できる体制を整えることが採用成功への近道です。
【この記事の制作元|株式会社ルーチェについて】
株式会社ルーチェは、中小・ベンチャー企業の「採用力強化」を支援する採用アウトソーシング(RPO)カンパニーです。創業以来、IT・WEB業界を中心に、企業ごとの課題に寄り添った採用支援を行っています。
私たちが大切にしているのは、「代行」ではなく「伴走」。スカウト配信・媒体運用・応募者対応といった実務支援にとどまらず、採用計画の策定、ペルソナ設計、採用ブランディングまでを一貫してサポート。企業の中に“採用の仕組み”を残すことを目指しています。また、Wantedlyをはじめとしたダイレクトリクルーティングの運用支援や、媒体活用の内製化支援にも注力。単なる代行ではなく、社内に採用ノウハウを蓄積させながら、再現性ある成果につなげることが特徴です。
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